蛍の墓で親戚のおばさんの極悪非情さを解説する
あらすじ
清太とその妹の節子は神戸に暮らしていたが神戸大空襲によって家を焼き払われ、母も空襲に巻き込まれて亡くなった。
そして親戚の家に身を寄せることになったが次第に親戚のおばさんに厄介者扱いをされ、清太と節子は親戚に家を出て二人で暮らす決心をしていくが・・・。
まずはどのタイミングで仲が険悪になったのか
おばさんとの仲が悪くなり始めたのは清太の母親の着物を売った直後だ。
着物を売って米にしてからはあからさまに清太と節子に冷たく当たるようになった。
雑炊ばかりでいつも腹を空かしていた節子がご飯を食べたいと言った途端に叱責し始めたおばさんだが、これまでに清太はおばさんの家に相当の食糧を入れているので清太と節子にもご飯を食べる権利は十分にある。
これでおばさん側の人達も雑炊で我慢しているのならおばさんの言う事も納得は出来るが、清太と節子には汁ばかりの雑炊を食べさせ自分たちはご飯を多めによそって食べているのだから納得できるはずもない。
なぜ突然冷たくなったのか
来た当初からあまりいい感じではなかった親戚のおばさんでしたが(雑炊を自分たちには米を多くよそうが、清太達には汁ばかりとか)、それでも態度に出してくる事はありませんでした。
着物を売った直後に冷たくなったのはおそらく、清太に吐き出させるものを吐き出させたから気を使う必要もなくなったと考えられます。
母親の形見の着物を売るのを泣きながらやめてと言っている節子を虫けらを見るような目で見るおばさん
清太の母が生きていたらこんな目にも合わなかったのでしょうが、母がいなくなった今清太を大切に扱う必要もなくなったと考えていたかもしれません。
それに清太達が働きもしないで遊んでいるとは言うが、両親も家もなくして住み慣れない家で暮らすことになった不安だらけの二人にすぐ働けというのは酷な話である。
家に食料をいれてますし、心が落ち着くまでは休息する時間も必要ではないでしょうか。
ここで整理すると
前から助け合いを約束していた親戚のおばさんの家で世話になる
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清太の家に埋められていた非常食をおばさんの家に渡す
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それでも清太や節子には汁だけの雑炊しか食べさせないのでいつも飢えている状態
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おばさんの提案でお母さんの形見の着物を売っぱらう
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突如おばさんの態度が冷たくなり、とつじょ東京の親戚を当たったらどうだという露骨な厄介者扱い
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ネチネチ攻撃で家から追い出す
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お別れの挨拶のときも心配するわけでもなく淡々と「さいならー」のみ
節子には言わないようにしていた母の死をおばさんは勝手に言ってしまったり、清太や節子が近所の防空壕に住んでいることをおそらく風の噂で知っていると思われるのに、結局なにもしなかったところをみるとおばさんは褒められた人間ではない。
清太の家の食料を吐き出させた途端に追い出しにかかる親戚のおばさんの極悪非情さはなかなかのものでしょう。